どうも、Carlです。

今セメスターはグループに分かれてショートドキュメンタリーを1本製作しています。
正直ドキュメンタリーにはあまり興味ないのですが仕方がない、と始めてみたらなかなか学ぶことも多い。
それよりも驚いたのがクラス内にドキュメンタリーを作りたがっている人が思いの外多かったことです。
まあ俺が興味なさすぎるだけなのでしょうがw
いやー人の価値観って違う者ですねえ笑




How To Do A Basic Edit part3
超基本編集の仕方:後編



Previously, on The Editing...(前回まで)


前編では本当に基礎中の基礎、中編では少し応用したクリエイティブなカットを紹介しました。
「オーケー、編集の仕方はわかった。でもいつカットすればいいの?何を指標にカットするの?」
今まではフッテージとフッテージのつなぎ合せ、スムーズなカットの話でしたが、今回はもう少し視野を広げてシーンの作り方の基本を話していきたいと思います。

尚、今回有名映画幾つかの例を出していくのでもし未見でしたら先に鑑賞することをお勧めします。どれも評価の高い映画ですので損はないと思います)

映画において、あまり話に出ないけどめちゃくちゃ重要なものってなんだと思いますか?
答えはフィーリングです。
雰囲気、ムード、トーン、いろんな言い方ができますが実はフィルムメーカーが1番気にしなければいけないのは観客がどう感じるかなのです。
例えばカメラワークもこれを指標としてどんなショットにするかを決めます。
三脚に置いてカメラを動かさないワイドショットと手持ちでブレの激しいクロースアップとは見ている人の感じ方はまっッッッッッッッッったく違います。
(カメラワークの基本、単語はこちら
(この感じ方は監督の意向、映画のテーマに沿っていきます)

この”フィーリング”はカメラワーク、音響、セリフ、演技、色まですべての要素が連なって作られていきます。
編集も例外ではありません。
いや、もっとも大切な要素と言っても過言ではありません。
(まあカメラワークと切っても切れない関係なので同率ですね)




編集には必ずペースとリズムというものがまとわりついてきます。
まあ簡単に言えば同じ長さのシーンでどれだけ多くカットを入れるか、なんですが、これが編集の1番の腕の見せ所!クリエイティブさが生かされる場所なのです!
(まあカットするだけならソフトウェアを学んだ人みんなができますしね)

我々は普段映画を見ている時にカメラの動きやいつカットが入ったかなんていちいち考えてはいません

(まあそれがプロの仕事なのですが)
しかし、実はアクション映画やスリラーでは観客を興奮させるためにカットを多く素早くなっています。
1番有名な例を出しますね。
(ネタバレ注意!)

サイコ(1960)
スリラー/ホラーの巨匠、アルフレッドヒッチコックの代表作、サイコのシャワーシーンです。
これを扱わない映画学校はないのではないかというくらい教科書化されています。

このシーンの何がすごいかと言いますと、こんなに怖い心臓ばくばくシーンなのに実際にナイフが刺さるショットは1つもないんですよ。
つまり、これを実際に隣で見ていたとしたら影がナイフを上げ下げして女の子が叫んでいるだけということですw
それを黒板に爪を立てたように不快な音楽と、圧迫感あるクロースアップの連続でここまで緊張感を高めているのです。
そして、極め付けにこのテンポの速い編集です。
一つ一つのショットが短すぎて何が起こっているかギリギリわかるくらいです。
脳がひとつのショットに映るのがなんなのか完全に処理する前に次のショットへと写ってしまうので脳がパニクってしまうわけです。
それがとても不快な感覚を作りダズのです。
この情報の少なさで我々観客はジャネットリーと同じ状況に置かれます。
彼女の立場からしてみればシャワー浴びてたら急に人が入ってきて刺されるわけですから何が何だかわからないですよね。
(”わからない””知らない”というのは人間の恐怖の源ですしね…)
(ちなみにこのシーンでは他にもたくさんのテクニックが使われていますので軽く紹介を。
- たまにカメラをPOVショットにしてジャネットリー目線にすることでナイフが自分に刺さるという感覚を与える
- 襲われる前に影が近づいてくるのをわざと見せて「志村後ろ!」のようなサスペンスを与える
- 襲われている時の速いカットとは対照的に襲われた後は長いこと編集がない。前の編集のせいで異様に長く感じる(高速降りた後の一般道路を運転みたいな)そうすることで不快感を残し、死にゆく苦しみを感じさせている。
- 死んだ彼女の開いた目と浴槽の排水溝のマッチカットが彼女の命が虚無、闇へと流れ込んでいく、つまり死を表現している。
などなど…)


このように、この速い編集がシーンに躍動感、緊張感、そして興奮を与えてくれるのです。
(MARVEL映画のような最近のアクション映画のアクションシーンの編集に注目してみると必ずと言っていいほどペースの早い編集が使われています)




逆にカットの少ない長いショットも緊張感を与えることもあります。
(ネタバレ注意!)

椿三十郎(1962)
めちゃくちゃ好きな映画のめちゃくちゃ好きな映画なのです…
続 夕陽のガンマン(1966)のように、二人をクロースアップで交互に移すこともできたでしょう。
しかし、黒沢監督は編集を入れないことを選んだ!
もちろん続 夕陽のガンマンのラストの決闘シーンも伝説的でフィルムスクールで教えられますのでどちらが正解というわけでは無くあくまでもこういう緊張感の作り出し方もあるという話です。
(ネタバレ注意!)





普通の会話シーンなどでは定期的にキャラクターを交互に映したりワイドショットに切り替えたりするのが一般的です。
あまり速いことカットを入れてしまうと内容にあっていなくて観客が混乱してしまったり、あまりに長いことカットを入れないとつまらなくなってしまいます。
(まあ長回しを好む監督もいますし、作品によってはそっちの方がかえって良かったりしますが)




ちなみに、緊張感の作り方は他にもcross cutting(クロスカッティング)、またはpararell editing(パラレルエディテイング)というものがあります。

見知らぬ乗客(1951)
またまたヒッチコック監督によるものです笑
クロスカッティングとは別の場所で同時に起こっている二つの出来事を行ったり来たりすることです。
このシーンではメインキャラクターの二人が交互に映されることによって「この二人がメインキャラクターなんだな」「これから二人に何かが起こる」という情報と緊張を与えています。
(靴しか映さないで二人が同じフレーム内に収まったときに全体が映る手法もまた情報不足でサスペンスを作り出しています!)





長くなってしまいました…
でもとても大切なことなのでよしとしましょう。
まあ例によって映画の見方、感じ方に正解はないのでこうしなければいけないわけではないですが、少なくとも長い間効果的に使われてきた手法なのでほとんどの場合は当てはまると思います。
と言っても、全ては監督の求めるトーンによりますが。
まあ、次映画を見るときは少し注意してみると見方が変わって面白いかもしれません。

では。



P.S.
ゴッドファーザー(1972)ではクロスカッティングがとても効果的に使われていますね!
(ネタバレ注意!)